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2017年4月28日 (金)

歯周病」と「認知症」の切っても切れない関係

国民的人気アニメ「ドラえもん」の初代声優として知られる大山のぶ代さん(82)が、この春、老人ホームに入所したというニュースが記憶に新しい人も少なくないでしょう歯科用切削研磨セット 。大山さんは4年前に認知症と診断され、夫で俳優の砂川啓介さん(79)が在宅介護を続けてきましたが、砂川さん自身の体調不良をきっかけに在宅介護が続けられなくなったようです。

高齢者の4人に1人が認知症か、認知症予備軍

厚生労働省研究班によれば、65歳以上の高齢者の認知症は2012年時点で推計462万人。さらに数年内に認知症になる確率が高いMCI(軽度認知障害)の認知症予備軍を合わせると800万人以上に上ります。これは65歳以上の高齢者の4人に1人がすでに認知症か、認知症予備軍だという計算になります。

厚労省の「平成25年国民生活基礎調査」によれば、要介護になる原因は脳卒中が1位(18.5%)、認知症は2位(15.8%)です口腔内照明器 。厚労省は国内の認知症患者が2025年に700万人を超えるという予想も発表しています。認知症は誰の身にも起こりうる国民病といってもよく、介護も必要となります。認知症の親を介護するために会社を休んだり、辞めたりする人が今後、ますます増えるかもしれません。日本経済にとっても大きな問題です。

私は歯科医として歯をはじめとする口の健康が全身に大きな影響を及ぼすという事例をたくさん見てきていますエアモーターセット。そこで得た知見の1つが、認知症と歯には密接な関係があるということです。「そんな話聞いたことないし、信じられない」と思われるかもしれませんが、うそではありません。

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シンプルにお伝えすると、そもそも認知症の正体は「脳の炎症」。その炎症も「慢性の長く続く小さな炎症」の影響が多く、その代表例が「歯周病」なのです。

歯周病の症状である「炎症」は、簡単にいえば外から入ってきたり、身体の内部で生まれたりした害のあるものへの防御反応です。身体は自分自身、つまり細胞を破壊してでも悪いものを取り除こうとします。そうして生命の危機から逃れようとするわけです。いわば「肉を切らせて骨を断つ」という戦術です。

ただ、その「炎症」のプロセスの中で細胞の分子にさまざまな作用をする「生理活性物質」というものが生まれます。それはタンパクの一種であったり、活性酸素であったりしますが、それらは炎症のある場所だけでなく全身的に病的な老化や認知症の原因になることがわかってきました。

老化のひとつの症状としての認知症も、その正体は「脳の炎症」だと言われています。そして、老化・認知症と関係が深いのは急性の激しい炎症ではなく、むしろ「慢性の長く続く小さな炎症」だということも明らかになってきているのです。

では「慢性の長く続く小さな炎症」とはどんなものなのでしょう? いくつか例をあげると、たとえば糖尿病からの高血糖は血管の壁に炎症をおこしますし、腸などに問題があると慢性的に炎症を生じていることもあります。

日本と米国では「歯周病」のとらえ方が違う

その「小さな炎症」のなかで影響が大きいものが、意外なことに「歯周病」なのです。そもそも歯周病とは何でしょうか。耳にしたことがあっても、正しく知っている人は少ないかもしれません。日本歯科衛生士会ホームページより概要を抜粋しますと、「歯肉・歯根膜・セメント質・歯槽骨で構成される歯周組織が、口の中の細菌感染によって破壊される慢性炎症性疾患のこと」で、成人だけではなく小・中学生などの若年層も多く罹患しているとされています。

適切に歯磨きができていないと、健康な歯ぐき(歯肉)に炎症が起こり、それを改善しないまま深部の歯周組織まで炎症が波及すると、歯と歯肉の境目の溝が深くなり、歯周ポケットが形成されます。これが重症化してしまうと歯がぐらつき始め、残念ながらたくさんの歯を失ってしまうことになりかねません。しかも歯をしっかり磨いていても、気づかずに歯周病になっている人がかなり多いのです。

2015年末に私が参加した米国アンチエイジング医学会(世界で最初に設立されたアンチエイジングの専門学会。世界110カ国、2万6千人の会員を擁する)総会では多くの発表者がこのことを指摘していました。

日本と米国では、歯周病に対するとらえ方が違うということを痛感しています。特に米国では、循環器系の疾患が日本以上に多いのが現状ですが、循環器疾患と歯周病が深くかかわっているというのは常識となっています。そのため、医師たちは歯周病を非常に重視しています。残念ながらこの認識は日本ではまだまだ十分ではありません。

また「歯周病が認知症の原因の多くを占めるアルツハイマー型認知症(AD)を悪化させる」という動物実験の結果もあります。人工的にADにかからせたマウスを2グループに分けて、一方だけを歯周病菌に感染させました。4カ月後にマウスの脳を調べると、いずれのグループでも記憶力に関係する脳の「海馬」という部分にADの原因となるタンパク質(アミロイドベータ、Aβ)が増えていたのですが、歯周病のマウスのほうが面積で約2.5倍、量で約1.5倍多くなっていました。

研究のリーダーである名古屋市立大・道川誠教授によると、これまで歯周病とADの関係は科学的に研究されておらず「歯周病治療で、認知症の進行を遅らせられる可能性が出てきた」そうです。別の実験では、マウスに歯周病の原因菌としていちばん有力なジンジバリス菌(P.g菌)がもつ毒素(LPS)を注入するとAβがたまりやすくなるとの結果もあります。

ヒトでの調査でも見逃せない結果が出ています。ADで亡くなった人の脳を調べると、P.g菌がもつ毒素(LPS)が高頻度で検出されます。それに対しADでないヒトの脳からはまったく検出されませんでした。またADが発病すると、発病前よりもP.g菌とその仲間の血液検査での陽性反応が強くなるという報告もあります。

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